ジェネリック医薬品は家で例えると設計図が同じで材料も大工さんも違う家です
サノ皮膚科クリニック
はじめに…2008年4月より、処方箋の書式が変更され、変更不可の指示がない限り、患者さんの同意を得れば、薬局が後発品(医薬品)に変更できるようになりました。患者さんが同意しない場合変更されることはありません。
ジェネリック医薬品とは・・・特許の切れた薬を開発したメーカー以外の製薬会社がまねて作った薬をいいます。後発品やゾロ品(特許が切れた後ゾロゾロ発売されるため)とも呼ばれます。これに対し開発したメーカーの薬を先発品と呼びます。
主剤(薬効のある化学物質)の構造式が同じ薬になります。ただし基剤(主剤を吸収させやすくしたり、保護したりする混ぜもの)も異なり、主剤の純度などにも差があります。家でたとえると設計図が同じで、材料も大工さんも違う家と考えれば良いと思います。
先発品と後発品は同じ効き目か・・・同じ効き目の薬もあれば、効き目がまったく違う場合もあります。テレビコマーシャルの「同じ薬、同じ効き目」という表現は誤りです。「同じ効き目の場合があります」というのが正しいと考えられます。また、副作用の発現頻度も異なると言われています(後発品は効果や副作用の調査なしに認可されるため)。
先発品を使うべきか薬はなにか・・・外用薬の場合軟膏やクリームなどの基剤の違いにより主剤の皮膚への吸収(効き目)が非常に異なるので、原則として先発メーカーの薬を使うべきと思います。ただし、後発品であっても製造するメーカーによっては信頼できるものもあるでしょう。
水虫の内服薬のイトラコナゾール(一般名)の場合は人体への吸収が非常に悪く、吸収効率を上げるため基剤に工夫が必要です。そのため先発品のイトリゾールに比べ、後発品はメーカーにより数十%から80%程度の吸収しかなく、あまり効かないものもあります。従ってこの薬は先発メーカーの薬をお勧めします。
後発品の患者さんの利点は・・・薬価が安い事にあります。薬によっては半値以下になりますので患者さんの払う薬代が安くなります。ただし、先発品とあまり値段の変わらない後発品もあります。
薬局や医療機関の利点は・・・ 薬局や院内処方の医療機関にとっては薬価差益が大きい(先発品は薬価に近い仕入れ値ですが、後発品は薬価よりかなり安い仕入れ値で購入できる薬があります。保険では薬価で請求できるのでその差が利益になります)ことが利点になります。また、院外薬局では、後発品を多く出すと、調剤料が高くなります(患者さんの支払いは増えます)。また、医療機関では一般名処方などで、後発品を処方すると、院外処方せん料が、高くなります(患者さんの支払いは増えます)。従って、薬局や医療機関は患者さんの負担を減らすために、後発品をすすめる場合が多いと思いますが、なかには自己の利益のために後発品をすすめる可能性もあるので注意がいります。
後発品を使いたい場合は・・・現在使っている薬の後発品を試して見たい場合は担当医にその旨を伝えると良いでしょう。そして、変更可能であれば(特許の切れていない薬には後発品はありません)、薬局で変更してもらい効き目を比較してみて、あまり変わらなければ後発品で良いのではないかと思います。なお、当院では、原則として、外用薬は後発品への変更不可、内服薬は変更可の処方箋を発行しますが、薬局で後発品に変更した場合、効果は正直なところわからないので、薬の効果については十分な責任は持てません。 2021年6月改変